「誰が更新しても安心できる」広告レポートへ。
TableauとGitHubで整えた、チームで支える運用体制
Web広告の成果を正しく把握し、次の施策や提案につなげるためには、レポートに表示される数字の信頼性が欠かせません。
しかし、更新作業や定期実行クエリの管理が特定の担当者に集中していると、
変更内容を追いにくくなったり、エラーへの対応が遅れたりすることがあります。
今回、コクーの支援担当者が携わったのは、広告業界の企業様におけるWeb広告レポートの運用改善です。
Tableauによる広告成果の可視化を支えるとともに、GitHubを活用した変更管理、自動アップロード、エラー通知、レビュー体制を整備しました。
重視したのは、単に更新作業を自動化することではなく、非エンジニアを含む複数のメンバーが、迷わず安全に運用できる状態をつくることです。
本記事では、属人化していたレポート運用をどのように整理し、分析や提案に時間を使える環境へ変えていったのか、支援時の工夫と成果をご紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業界 | 広告業界 |
| 支援期間 | 6〜12ヶ月 |
| 仕様ツール | Tableau、GitHub、スプレッドシート、CSV |
| 担当範囲 | レポート作成・更新、保守・修正、表示改善、定期実行クエリの管理、データ出力の自動化、エラー検知体制の整備、マニュアル作成など |
| 支援形態 | 常駐 |
お客様はどのような課題を抱えていましたか?
更新作業や変更管理が、特定の担当者に依存していた
お客様は、クリック数やコンバージョン率などの広告成果をTableauで可視化し、
営業担当者やマーケティングチームが日々確認できる環境を構築していました。
一方で、レポートや定期実行クエリの管理方法は担当者ごとの対応に委ねられており、誰が、いつ、どこを変更したのかを追いにくい状態でした。
修正内容の確認方法も統一されていなかったため、更新作業のたびに「正しく反映されているか」という不安が残っていました。
特定の担当者がいなければ修正方法を確認できない場面もあり、レポートを継続的に運用するうえで、
チーム全体で管理できる仕組みが必要とされていました。
エラーへの気づきが遅れ、数値の信頼性に影響していた
広告実績を取得する一部のクエリには、他部署で作成されたものを流用していました。
そのため、現在の運用環境ではエラー通知が正しく作動しないケースがあり、データが欠けたままレポートが配信されることもありました。
問題が発生しても担当者側ですぐに検知できず、レポートを利用するユーザーから指摘を受けて初めて気づくこともあったといいます。
広告レポートは、営業活動やマーケティング施策の判断材料になります。
更新のたびに数値の正しさを個別に確認しなければならない状態では、分析や改善提案に集中しにくくなります。
作業時間だけでなく、安心して数字を使える環境を整えることも重要な課題でした。
更新後の確認手順が定まっていなかった
レポートの修正やクエリの変更を行った際、別のメンバーが内容を確認する仕組みも十分には整っていませんでした。
一人で更新から確認までを担う運用では、意図しない変更や設定ミスを見落とす可能性があります。
しかし、確認工程を増やすだけでは、現場の作業負担も大きくなってしまいます。
そこで、変更内容を記録しながら、必要な確認を無理なく行える運用ルールを設けることが求められていました。
課題解決のために、どのようなことを意識しましたか?
ツールの設定だけでなく、日々の運用方法から整理する
支援担当者が最初に意識したのは、Tableau上の表示やクエリだけを見るのではなく、
レポートが更新され、確認され、利用者へ届くまでの流れを把握することでした。
どのデータを、どのクエリで取得しているのか。誰が更新し、どのような方法で反映しているのか。
エラーが発生した際は、誰が、どのタイミングで対応するのか。
実際の作業を一つずつ確認し、技術面と運用面の両方から課題を整理しました。
更新を自動化しても、変更履歴や確認方法が曖昧なままでは、別の担当者が作業するときに不安が残ります。
そのため、仕組みの構築と並行して、チームで管理するためのルールづくりも進めました。
GitHubを活用し、変更内容を追える環境を整える
レポートやクエリの変更内容を記録できるよう、GitHubを活用した管理環境を整備しました。
変更前後の内容を確認できる状態にすることで、修正箇所を後から追いやすくなります。
万が一、更新後に問題が発生した場合も、どの変更が影響しているのかを確認しやすくなりました。
さらに、変更内容は別のメンバーが確認してから反映する運用としました。
一人の判断だけで更新を進めるのではなく、複数の視点で内容を確認することで、設定ミスや意図しない変更を事前に防ぐ狙いがあります。
管理ツールを導入すること自体を目的とせず、「誰が作業しても変更内容を確認できること」
「担当者が変わっても運用を引き継げること」を基準に、管理方法を設計しました。
更新作業を自動化し、作業負担と操作ミスを減らす
従来は手作業で行っていたアップロードについて、ワンクリックで更新できる仕組みを導入しました。
毎回同じ手順を繰り返す作業は、時間がかかるだけでなく、ファイルの選択や更新先の指定を誤る可能性もあります。
そこで、人が判断する必要のない工程を自動化し、担当者が複雑な操作を行わなくても更新できるようにしました。
また、抽出したデータをスプレッドシートやCSVへ自動出力する環境も整え、営業担当者が必要な数字をすぐに利用できるようにしています。
自動化によって生まれた時間を、単なる余白にするのではなく、
広告成果の確認や顧客への提案など、より判断を必要とする業務へ振り向けられる状態を目指しました。
問題が起きてから対応するのではなく、早く気づける仕組みに変える
既存のエラー通知については、実際の運用環境で正しく作動するかを確認し、必要な修正を行いました。
データの取得に失敗した場合や、想定した数値が出力されていない場合に、担当者が速やかに問題を把握できるよう通知方法を改善しています。
さらに、本番環境へ直接変更を反映するのではなく、事前に動作を確認できるテスト環境を設けました。
修正内容を安全に検証してから本番へ反映する流れをつくることで、利用中のレポートへの影響を抑えています。
「問題を起こさない」ことだけを目指すのではなく、問題が発生したとしても早期に把握し、影響が広がる前に対応できる設計を重視しました。
非エンジニアでも迷わない手順に落とし込む
仕組みを整えた後は、非エンジニアのメンバーでも運用できるよう、作業手順をマニュアルにまとめました。
操作方法だけでなく、更新前に確認すること、エラー通知を受け取った際の対応、
判断に迷った場合の確認先など、日々の運用で必要になる情報を整理しています。
あわせて説明会を実施し、資料を渡すだけで終わらせず、実際の画面を見ながら作業の流れを共有しました。
担当者の知識や経験を前提にするのではなく、初めて作業する人がどこで迷うかを考えながら手順を整えることで、
チーム内で無理なく役割を分担できる環境につなげました。
印象に残っているエピソードを教えてください
今回の支援で印象的だったのは、エラー通知の改善によって、データの欠損を利用者から指摘される前に把握できるようになったことです。
支援前は、通知が正しく作動しないケースがあり、数値が欠けた状態でレポートが配信されてしまうことがありました。
利用者からの連絡で初めて問題が判明するため、原因の確認や修正対応が後手に回りやすい状況でした。
支援担当者は、現在の運用と通知設定を照らし合わせ、どのような場合に通知が届かないのかを確認。
既存の仕組みをそのまま使い続けるのではなく、実際の環境で機能する形に修正しました。
その結果、異常を早い段階で検知し、レポートの利用者へ影響が及ぶ前に対応しやすくなりました。
目立つ機能を追加したわけではありません。
しかし、毎日使うレポートだからこそ、「今日の数字も安心して見られる」という状態を積み重ねることが、
現場の信頼につながります。仕組みの裏側まで確認し、利用者が不安なく数字を使える状態をつくることの大切さが表れた出来事でした。
支援を通してどのような成果がありましたか?
更新作業の自動化により、レポート作成にかかる時間は従来の約半分に短縮されました。
手作業によるアップロードが不要になり、定型的な作業に費やしていた時間を、データの確認や分析に使えるようになっています。
変更内容をGitHubで管理し、別のメンバーが確認する体制を設けたことで、更新時のミスも事前に防ぎやすくなりました。
誰が何を変更したのかを確認できるため、問題が起きた際の原因調査もしやすくなっています。
また、エラー通知の改善によって、数値の抜けやデータ取得の不具合を早期に検知できるようになりました。
利用者から指摘を受けるまで問題に気づけない状態から、担当チーム側で先に確認し、対応できる運用へ変化しています。
マニュアルと確認手順も整備されたことで、一人の担当者だけに作業が集中せず、チーム全体でレポートを管理しやすくなりました。
その結果、営業担当者やマーケティングチームが数字の正しさを毎回疑うのではなく、
広告成果の分析や顧客への改善提案に集中できる環境が整っています。
成果まとめ
- 手作業による更新を自動化し、レポート作成時間を約半分に短縮
- GitHubで変更履歴を管理し、修正箇所や更新者を確認しやすい環境を整備
- 更新前に別メンバーが確認するレビュー体制を設け、設定ミスを防止
- エラー通知を改善し、数値の欠損や不具合を利用者への配信前に検知しやすい運用へ移行
- マニュアルと引き継ぎ手順を整え、複数のメンバーでレポートを管理できる状態を実現
この経験から学んだこと
今回の支援を通じて改めて確認できたのは、データ活用は、ダッシュボードを構築するだけでは定着しないということです。
Tableauで見やすいレポートを作成しても、更新方法が特定の担当者にしか分からなかったり、
エラーに気づけなかったりすれば、利用する側は数字に不安を感じてしまいます。
安心して使い続けられる環境をつくるには、データの取得、更新、確認、通知、引き継ぎまでを一つの運用として捉える必要があります。
また、自動化できる工程と、人の確認が必要な工程を分けることも重要です。すべてを機械に任せるのではなく、
定型作業は自動化し、重要な変更にはレビューを設けることで、効率と安全性の両立につながりました。
利用する人の知識や経験に依存しない手順を整えることが、長く使われる仕組みの土台になる。
今回の経験は、そのことを実感する支援となりました。
今後チャレンジしたいこと
今後は、広告効果測定ツールをはじめとする複数のデータをまとめ、より幅広い分析に活用できる環境づくりを検討しています。
複数のツールから取得したデータを一つのレポートで扱うには、データ形式の違いを整理し、分析しやすい形に成形する仕組みが必要です。
場合によっては、新たなシステム開発も求められます。
今回整えた安定したレポート運用を土台に、今後はデータを確認するだけでなく、
施策改善や提案へさらに活用できる環境へ発展させていくことが次のテーマです。
支援担当者も、日々の運用を支えるだけでなく、データの利活用を次の段階へ進める方法をお客様とともに考え、
より柔軟で効率的な分析環境の実現を支援していきたいと考えています。
現場に寄り添う業務改善なら、コクーへご相談ください
コクーは、業務改善やDX推進において、ツールを導入することだけを目的とせず、実際の業務や運用状況を理解することから支援を始めています。
課題整理や業務の可視化、要件整理、設計、構築、テスト、運用定着まで、お客様の状況に応じて幅広く対応します。
ExcelやVBA、RPA、Power Platform、BI、kintone、CELF、AIなど、
複数の技術やツールから課題に合う方法を検討できることも、コクーの支援の特長です。
今回のようなレポート運用では、見やすい画面をつくるだけでなく、更新方法、エラー対応、確認手順、引き継ぎまでを含めて整えることが欠かせません。
「担当者が変わると運用できない」「レポートの数字に不安がある」「更新作業に時間がかかっている」といった段階でも、現在の業務を一緒に整理しながら、現場で使い続けられる方法を考えていきます。