「全社の数字」から「現場が動ける数字」へ。
営業データの活用と属人化解消を支えたPower BIダッシュボード構築

全社の業績をPower BIで確認できていても、現場が日々の営業活動に活かせるとは限りません。

今回支援したIT業界の企業様では、全社レベルの数字は可視化されていた一方、事業部や課、
営業担当者ごとの進捗や成果を詳しく確認できる環境が整っていませんでした。

また、報告資料の作成に手間がかかっていたほか、長年使われてきたVBAによるデータ加工が特定の担当者に依存し、
今後の引き継ぎや保守も課題となっていました。

本プロジェクトを担当したコクー社員は、Power BIの画面をつくるだけでなく、現場がどのような数字を、どの場面で必要としているのかを確認。PowerQueryによるデータ加工の再構築やExcel出力機能の整備まで行い、継続して使いやすい仕組みへと見直しました。

本記事では、現場の声をどのようにダッシュボードへ反映したのか、属人化していた業務をどう整理したのか、
そして「データを見る」状態から「次の行動に活かす」状態へ変えるために大切にしたことをご紹介します。

項目 内容
業界 IT業界 
支援期間 1年以上
仕様ツール Power BI、PowerQuery、Excel、VBA 
担当範囲 現場ヒアリング、データ構造の整理、ボード設計・構築、Excel出力機能の整備、利用状況の把握、運用マニュアル作成、引き継ぎ支援 
支援形態 常駐
 営業データを、現場の判断に使える形へ整えませんか? 
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お客様はどのような課題を抱えていましたか?

 

全社の数字は見えていても、現場が必要とする粒度では確認できなかった

お客様の社内では、すでにPower BIを活用し、全社レベルの業績を確認できる環境が整えられていました。
一方で、事業部や課、営業担当者といった、より細かな単位で進捗や成果を分析することは難しい状態でした。

営業現場で次の行動を考えるためには、全社の売上だけでなく、組織別・担当者別の実績や予算との差、
顧客や商品ごとの動きなど、複数の視点から数字を見る必要があります。
しかし、必要な切り口でデータを確認できなかったため、既存のダッシュボードを日々の営業活動や振り返りに十分活かしきれていませんでした。

必要なデータを資料にするまでに時間を要していた

会議や報告に使用するデータは、Power BI上で確認するだけでなく、用途に応じてExcelなどに出力し、資料として加工する必要がありました。

しかし、必要なデータを簡単に取り出せる仕組みがなかったため、提出資料を作成するたびにデータの抽出や加工が発生していました。
数字を確認する前段階の作業に時間がかかり、分析や検討に充てる時間を確保しにくいことも課題の一つでした。

データ加工が特定の担当者に依存していた

ダッシュボードに取り込むデータの加工には、長年VBAが使用されていました。

業務を支えてきた仕組みである一方、加工方法やメンテナンスが特定の担当者に依存しており、
その担当者の退職を見据えた引き継ぎが必要となっていました。

既存の処理をそのまま引き継ぐだけでは、担当者が変わるたびに同じ課題が生じる可能性があります。

今後も安定してデータを更新し、ダッシュボードを使い続けるためには、加工プロセスそのものを見直し、
保守しやすい形に整えることが求められていました。

 

課題解決のために、どのようなことを意識しましたか?

 

最初から画面を決めず、現場が知りたいことを整理する

支援の初期段階では、営業現場へのヒアリングを行い、現在どのようにデータを確認しているのか、
どの数字を判断に使いたいのかを一つずつ整理しました。

ダッシュボード構築では、表示するグラフや項目を先に決めてしまうと、情報量は多くても、実際の業務では使いにくい画面になることがあります。そのため、担当スタッフは単に「何を表示したいか」を聞くだけでなく、数字を確認した後にどのような判断や行動を行うのかまで意識して要望を整理しました。

お客様から出された意見をそのまま画面へ反映するのではなく、複数の要望を踏まえてコクー側からボードの素案や構成を提示。
実際の利用場面を想定しながら意見交換を重ねることで、必要な情報と見せ方を具体化していきました。

組織・個人・商品・顧客を行き来できる設計にする

営業活動の状況を正しく捉えるためには、一つの指標だけを見るのではなく、複数の切り口を組み合わせる必要があります。

そこで、事業部や課などの組織単位に加え、営業担当者、顧客、機種などの単位で実績を確認できるようにしました。
予算と実績の比較、ランキング、成長率なども可視化し、全体の傾向から個別の状況まで段階的に確認できる構成としています。

情報を増やすだけでは、かえって画面が複雑になります。分析の精度と操作のしやすさを両立するため、
どの情報を最初に見せるか、どこから詳細を確認できるようにするかを整理し、現場が迷いにくい画面設計を目指しました。

ダッシュボードの裏側にあるデータ加工から見直す

今回の支援では、Power BIのボード構築と並行して、データ加工プロセスも見直しました。

既存のVBAによる加工処理を確認し、PowerQueryを使った処理へ再構築。繰り返し発生する加工を自動化し、
特定の担当者だけが処理内容を理解している状態から、引き継ぎや保守を行いやすい仕組みへ移行しました。

見栄えのよいダッシュボードを構築しても、更新作業が複雑であれば、運用を続けることは難しくなります。
担当者は、利用者が見る画面だけでなく、データを準備する担当者の負担も含めて考え、日常的に更新しやすい構成を整えました。

Power BIだけで完結させず、Excelで使う場面にも対応する

現場では、すべての業務がPower BI上だけで完結するわけではありません。
会議資料の作成や個別の確認など、Excel形式のデータが必要になる場面もあります。

そこで、必要なデータをワンクリックでExcelへ出力できる機能を整備しました。
新しいツールの使い方を一方的に求めるのではなく、現場ですでに定着している業務も踏まえて、Power BIとExcelを使い分けられる形を選んでいます。

依頼されたダッシュボードを構築して終わるのではなく、その後にどのような作業が発生するかまで捉えたことで、
報告資料の作成やデータ確認にかかる負担を軽減しました。

利用状況を確認し、使われ続けるボードへ改善する

ダッシュボードは、公開した時点で完成するものではありません。
実際にどの画面が利用されているのか、現場がどの情報を確認しているのかを把握し、改善を重ねる必要があります。

本プロジェクトでは、ボードの利用状況を確認できる環境も整えました。
利用傾向や現場の反応を把握しながら、必要に応じて改善を提案できるようにすることで、構築後の定着まで見据えています。

操作方法や更新手順についてはマニュアルにまとめ、引き継ぎも支援しました。
担当者が変わっても安心して使い続けられるよう、画面、データ加工、運用の三つを切り離さずに整えたことが、今回の支援の大きな特徴です。

 

印象に残っているエピソードを教えてください

 

今回の支援で印象的だったのは、現場から出された要望に対し、すぐに画面をつくり始めるのではなく、
コクー側からボードの素案を提示しながら認識を合わせていったことです。

ダッシュボードに対する要望は、「この数字を見たい」「この項目を追加したい」といった個別の形で出されることがあります。
しかし、それぞれをそのまま配置すると、情報が増えすぎ、利用者にとって分かりにくい画面になりかねません。

そこで担当者は、複数の要望を整理し、営業活動のどの場面で使うのかを考えながら構成案を作成しました。
実際の画面をイメージできる素案をもとに話し合うことで、お客様側でも必要な機能や優先順位を具体的に検討しやすくなりました。

意見交換を繰り返すなかで、単に依頼された項目を並べるのではなく、
組織全体の状況から個人や顧客単位の詳細へと確認できる設計が形になっていきました。

要望がすべて固まるのを待つのではなく、まず考えられる形を提示し、それを共通の材料として一緒に改善していく。
この進め方が、現場の認識と完成後の画面とのずれを抑え、実際に使いやすいダッシュボードにつながりました。

 

支援を通してどのような成果がありましたか?

 

支援後は、組織、営業担当者、商品、顧客など、複数の切り口から営業データを確認できるようになりました。

全社の業績を把握するだけでなく、各部門や担当者が、自分たちの進捗や成果、課題をすぐに確認できる環境が整っています。

予算と実績の差やランキング、成長率なども同じダッシュボード上で確認できるため、
数字を探して集めるのではなく、状況を見て次の行動を考えやすくなりました。

また、PowerQueryによってデータ加工が自動化され、VBAと特定担当者に依存していた処理を見直すことができました。
引き継ぎや保守を行いやすい形になり、担当者が変わった後も継続して運用しやすい土台が整っています。

Excel出力機能を設けたことで、必要なデータを取り出す際の作業負担も軽減されました。
資料作成のために数字を準備する時間を抑え、分析や判断に時間を使いやすくなっています。

さらに、ボードの利用状況を確認できるようになったことで、公開後の反応や利用傾向も把握できるようになりました。
つくって終わるダッシュボードではなく、現場の使われ方をもとに改善を続けられる環境へと変化しています。

 

成果まとめ

支援を通じて生まれた変化

  • 事業部・課・営業担当者単位で、業績や進捗を確認できるようになった
  • 顧客・機種・予実・ランキング・成長率などを多角的に分析できる環境が整った
  • VBAに依存していたデータ加工をPowerQueryで再構築し、引き継ぎや保守を行いやすくした
  • 必要なデータをExcelへ出力できるようになり、資料作成前の抽出作業を軽減した
  • ボードの利用状況を把握し、現場の使われ方をもとに継続的な改善を行えるようになった

 

この経験から学んだこと

 

今回の支援を通じて改めて確認できたのは、ダッシュボードは、表示する数字が多いほど価値が高まるわけではないということです。

重要なのは、現場がどの場面で数字を確認し、その後に何を判断するのかを理解することです。
同じ営業データでも、経営層、事業部、課、営業担当者では、必要な粒度や見たい順番が異なります。
実際の利用場面を確認しながら設計することで、初めて日々の業務に活かせる画面になります。

また、データ活用を定着させるには、利用者が見るダッシュボードだけでなく、その裏側にある加工や更新の仕組みまで整えることが欠かせません。
特定の人しか扱えない処理を残したままでは、担当者の異動や退職によって運用が止まる可能性があります。

現場の声を聞き、こちらからも具体的な案を示しながら、一緒に使い方を形にしていくこと。
そして、構築後の更新や引き継ぎまで考えることが、長く使われるデータ活用環境につながると学びました。

 

今後チャレンジしたいこと

 

今後は、今回構築したダッシュボードを活用し、分析レポートを自動で作成する仕組みについても検討が進められています。

また、より高速にデータを加工できる環境を目指し、Pythonとの連携も検討されています。
データ量や分析内容が広がっても、現場の負担を増やさず、必要な情報を素早く確認できる状態を整えていくことが今後のテーマです。

コクーの支援担当者も、ダッシュボードを構築するだけでなく、現場が自ら数字を確認し、
課題を見つけ、次の行動を考えられる環境づくりを引き続き支えていきます。

分析のための仕組みを整える段階から、日常的にデータを活用する状態へ。
お客様と意見を交わしながら、無理なく活用の幅を広げていくことを目指しています。

 

現場に寄り添う業務改善なら、コクーへご相談ください

 

コクーは、企業の業務改善やDX推進を、現場の業務を理解するところから支援しています。

課題の整理や業務の可視化、要件整理、設計、構築に加え、導入後の運用や定着まで幅広く対応しています。
Excel、VBA、RPA、Power Platform、BI、kintone、CELF、AIなど、
さまざまな技術やツールを扱っていますが、特定の製品を導入することだけを目的にはしていません。

既存の業務やツールの使われ方、現場担当者の習熟度、更新や引き継ぎのしやすさまで確認しながら、お客様の課題に合った方法を一緒に考えます。

「データはあるものの、活用方法が定まっていない」「ダッシュボードを導入したが、
現場で十分に使われていない」「データ加工や更新作業が特定の担当者に集中している」といった段階でもご相談いただけます。

現場が無理なく使い続けられ、数字を次の判断や行動につなげられる仕組みを、一緒に整えていきます。

 

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